ガッテン運営:株式会社ソレカラ無料資料を受け取る

毎日の最新情報

Opus 5.5 のエフォート(effort)で見直すこと:売上報告と時間割の3題を低・中・高で試した結果

Claude Opus 5.5 のエフォート(effort、思考量の設定)を低・中・高に変え、Opus 5 の高とも比べて、売上報告の確認と研修の時間割づくりを当社で試しました。3題とも「低」で正解し、違いが目立ったのは時間とトークンでした。

Opus 5.5 のエフォート(effort)で見直すこと:売上報告と時間割の3題を低・中・高で試した結果

公開 更新

今回の要点

Opus 5.5 は「中」で足りる? の記事で、Anthropic が Opus 5.5 のエフォート(effort)を「中(medium)」から試すよう案内していることを紹介しました。エフォートは、回答の前にどれだけ考えるかを決める設定です。この記事では「思考量」とも書きます。今回はそれを当社で実際に試しています。

Claude Opus 5.5 のエフォートを低(low)・中(medium)・高(high)の3段階で動かし、前の世代の Opus 5 の高とも比べました。題材は架空の仕事3つです。

  1. 月次の売上報告の誤りを探す
  2. もっと込み入った上期の売上報告の誤りを探す
  3. 条件が12個ある研修の時間割を組み、条件が変わったら組めるかを答える

結果は、3題とも4通りすべてが正解でした。思考量を「低」にしても、誤りの見落としも、正しい所を誤りと言う間違いも出ませんでした。違いが目立ったのは、かかった時間と使ったトークンです。

これは当社の環境で各3回ずつ試した結果で、Claude の性能を一般的に述べたものではありません。題材とプロンプトはすべて下に載せましたので、お手元の仕事に近い題材で同じように比べてみてください。

試した方法

Claude Code には、作業の一部を設定を固定した別の Claude に任せる仕組み(サブエージェント)があります。これを4つ用意し、それぞれモデルと思考量を固定しました。

名前モデル思考量(effort)
5.5 低Claude Opus 5.5low
5.5 中Claude Opus 5.5medium
5.5 高Claude Opus 5.5high
5 高Claude Opus 5high

どのサブエージェントも、使える道具はファイルを読むことだけです。題材のファイルだけを読ませ、正解を書いたファイルは別の場所に置いて読めないようにしました。4通りには同じ依頼文を渡しています。

正解は当社で先に作り、採点も当社で行いました。時間割の題材は、10コマに8講座を置く全部の並べ方(約180万通り)をプログラムで試し、答えが1通りしかないことを確かめてあります。

時間は、当社の環境で見た所要時間です。題材2・3は4通りを、題材1は 5.5 低を除く3通りを同時に動かしたため、待ち時間が混ざっており、速さの比較とまでは言えません(題材1の 5.5 低は、あとから別の時刻に3回同時に動かしました)。トークンは Claude Code が表示した合計です。内部で考えた分がどこまで含まれるかは分かりません。

題材1:月次の売上報告で、4通りとも誤りを全部拾った

依頼文は次のとおりです。

「あなたは営業企画部の担当です。次の月次売上報告の下書きを、上司に出す前に確かめてください。数字の誤り、表どうしの食い違い、コメントの誤りを、場所・何が違うか・正しくはどうかの形で挙げてください。正しいところは挙げなくてかまいません。」

このあとに、報告のファイルの場所と「読んでよいのはこのファイルだけです」の2行を続けました。題材3も同じです。

題材は架空の会社の9月の売上報告です(単位:千円)。

支店別の売上

支店9月の売上前年9月前年比目標目標達成率
札幌42,30039,800106.3%45,00094.0%
仙台31,75033,200104.6%32,00099.2%
東京128,400121,900105.3%125,000102.7%
横浜56,20052,100107.9%55,000102.2%
名古屋67,90061,300110.8%70,00097.0%
大阪94,10097,60096.4%100,00094.1%
広島28,60026,900106.3%28,000102.1%
福岡49,80044,200112.7%48,000103.8%
大阪94,10097,60096.4%100,00094.1%
合計593,150574,600103.2%603,00098.4%

商品分類別の売上

分類9月の売上構成比
業務用機器248,00049.8%
消耗品131,50026.4%
保守サービス86,40017.3%
その他32,2006.5%
合計498,100100.0%

担当者のコメント:9月は全支店で前年を上回り、全社の売上は前年比 103.2% と好調でした。特に福岡は前年比 112.7% と最も伸びています。目標に対しては 98.4% とわずかに届きませんでしたが、東京・横浜・広島・福岡の4支店が目標を達成しました。来月もこの勢いを保ち、全社で目標達成を目指します。

仕込んだ誤りは7つです。仙台の前年比(正しくは 95.6%)、大阪の行の重複、重複のせいでずれた合計の行、2つの表の合計が合わないこと、コメントの誤り3つ(「全支店で前年を上回り」「103.2%」「98.4%」)です。「福岡が最も伸びた」と「4支店が目標達成」は正しい文で、これを誤りと言ったら減点する決まりにしました。

4通りとも各3回、計12回がすべて満点でした。重複を除いた合計(499,050)と商品分類別の合計(498,100)が 950 合わないところまで、どの回も指摘しています。

題材2:表を突き合わせないと分からない誤りも、4通りとも拾った

題材1が易しすぎたため、1つの表を計算し直すだけでは見つからない誤りを入れた題材を作りました。依頼文は題材1と同じです。

月別の全社売上と粗利(単位:千円)

月売上前年同月の売上前年同月比粗利粗利率
4月331,200318,500104.0%79,80024.1%
5月338,900322,700105.0%80,30023.7%
6月352,600331,900106.2%82,10023.3%
7月318,400306,200104.0%74,20023.3%
8月356,700321,400111.0%84,90023.8%
9月351,100346,700101.3%80,20022.8%
上期計2,048,9001,947,400105.2%481,50023.5%

前年上期の粗利は 486,850 千円(粗利率 25.0%)でした。

支店別の上期売上(単位:千円)

支店上期の売上前年上期前年比構成比
札幌238,400229,100104.1%11.6%
仙台176,900181,30097.6%8.6%
東京612,300588,700104.0%29.9%
名古屋312,400284,900106.1%14.8%
大阪455,800447,200101.9%22.2%
福岡221,600203,400108.9%10.3%
熊本※41,50012,800324.2%2.0%
既存店計2,048,9001,947,400105.2%—
全社計2,048,9001,947,400105.2%100.0%

※熊本支店は前年8月に開設しました。前年上期は8・9月の2か月分です。

取引先の数(上期中に1回以上取引のあった会社)

今年上期前年上期
取引先数3,412社3,105社

担当者のコメント:上期の売上は 204億8,900万円(前年比 105.2%)と、前年を上回りました。前年を下回ったのは仙台だけです。月平均の売上は 341,483 千円でした。8月の伸びが最も大きく(前年同月比 111.0%)、9月単月でも前年比 105.2% と堅調です。取引先1社あたりの売上(客単価)が上がったことが、増収の主な理由です。一方、粗利率は前年の 25.0% から 23.5% へと6ポイント下がりました。下期は値引きの見直しで粗利率の回復を目指します。

仕込んだ誤りは次の7つです。

  • 名古屋の売上の打ち間違い。支店を足すと全社計より 10,000 多くなります。同じ行の前年比と構成比から、誤っているのは合計ではなく名古屋の売上(正しくは 302,400)だと分かります
  • 福岡の構成比(正しくは 10.8%)
  • 既存店計に新しい熊本支店が入ったままになっていること
  • 「204億8,900万円」(正しくは 20億4,890万円)
  • 「9月単月でも 105.2%」(105.2% は上期全体の値で、9月だけなら 101.3%)
  • 「客単価が上がった」(1社あたりの売上は約 627 千円から約 600 千円に下がっており、増収は取引先が増えたため)
  • 「6ポイント下がった」(正しくは 1.5ポイント)

正しいのに怪しく見える箇所も5つ置きました。熊本の 324.2%、構成比を正しく直しても合計が 99.9% になる端数、「前年を下回ったのは仙台だけ」「月平均」「8月の伸びが最大」です。

4通りとも3回ずつ、計12回試し、どの回も7つすべてを正しい値まで拾いました。名古屋も、合計ではなく名古屋の欄が誤っていると、どの回も特定しています。怪しく見える5箇所を誤りと言った回はありませんでした。

題材3:条件12個の時間割も、「低」で解き切った

最後は、考える手数そのものが多い問題です。依頼文は次のとおりです。

「あなたは人事部の担当です。次のメモの条件で、来週の新人研修の時間割を組んでください。問1:条件1〜12をすべて満たす時間割を示してください。また、ほかの組み方があるかどうかも、理由とともに答えてください。問2:高橋さんが月曜も来られなくなりました(ほかの条件はそのまま)。時間割は組めますか。組めないなら、条件1〜12のうちどれか1つだけを外せば組めるようになるものを、すべて挙げてください。」

メモの中身です。月曜から金曜まで、1日は午前と午後の2コマで、全部で10コマあります。1コマに入れる講座は1つで、講座は8つなので2コマが空きになります。同じ講師が同じ日に2つの講座を持ってもかまいません。

講座講師
会社概要人事部 佐藤さん
ビジネスマナー人事部 佐藤さん
情報セキュリティ情報システム部 田中さん
顧客管理システムの使い方情報システム部 田中さん
経理の基本経理部 鈴木さん
営業の基本営業部 高橋さん
営業同行の準備営業部 高橋さん
商品知識商品部 伊藤さん

条件は次の12個です。

  1. 会社概要は、研修の最初のコマ(月曜午前)に行う。
  2. 情報セキュリティは、顧客管理システムの使い方より前の日に行う(同じ日は不可)。
  3. 田中さんは水曜は不在。
  4. 鈴木さんは午後しか来られず、木曜と金曜は来られない。
  5. 金曜午後は歓迎会の準備のため空ける。
  6. 商品知識は、営業の基本より後の日に行う(同じ日は不可)。伊藤さんは午前しか来られない。
  7. 営業同行の準備は、研修の最後の講座にする(これより後のコマには講座を入れない)。
  8. 高橋さんは火曜は不在。
  9. 佐藤さんは水曜は不在。
  10. 伊藤さんは木曜は不在。
  11. ビジネスマナーは水曜までに行う。
  12. 田中さんは午後しか来られない。

問1の答えは次の1通りだけです。12個の条件はどれも、1つ外すと組み方が2通り以上に増えます。余分な条件はありません。

午前午後
月会社概要営業の基本
火ビジネスマナー情報セキュリティ
水商品知識経理の基本
木空き顧客管理システムの使い方
金営業同行の準備空き

問2は組めません。1つ外せば組めるのは、条件5・6・7・8・10の5つです。

4通りとも3回ずつ、計12回試し、どの回も時間割・「1通りだけ」・「組めない」・外せる5つの条件のすべてで正解しました。どの回も、問2で「この条件を外せばこう組める」という例を挙げています。当社でプログラムを使って例を条件に照らしたところ、どれも正しい時間割でした。

1通りしかない理由の説明は、ほぼ同じ筋道でした。営業同行の準備は最後の講座なので、置けるのは金曜午前か木曜午後しかありません。木曜午後に置くと商品知識の置き場がなくなるので金曜午前に決まり、残りも順に決まっていきます。ただし 5.5 中の3回目だけは、木曜午後の場合を消す理由に、あとで導く結論を先に使っていました。結論は正しいものの、説明としては穴があります。

違いが目立ったのは、時間とトークン

正誤に差がなかった一方で、時間とトークンは Opus 5.5 の中では低・中・高の順に増え、Opus 5 の高がいちばん多くかかりました。

題材5.5 低5.5 中5.5 高5 高
題材1(各3回)16〜18秒22〜23秒23〜26秒47〜160秒
題材2(各3回)27〜28秒32〜33秒36〜38秒57〜72秒
題材3(各3回)37〜45秒45〜48秒52〜62秒104〜120秒
題材5.5 低5.5 中5.5 高5 高
題材1(3回の平均)約25,400約25,900約26,300約27,200
題材2(3回の平均)約27,200約27,900約28,400約30,300
題材3(3回の平均)約28,500約29,400約30,400約34,500

トークンの大半は、題材のファイルと Claude Code の指示を読む分と考えられます。そのため差は大きくなく、5.5 の低と高の差は1割未満、5.5 低と Opus 5 高の差は最大で2割強でした。題材3のように考える手数が多い問題ほど、差が開きました。

題材1の「5 高」の160秒は、ほかの2回(47秒)と大きく違います。同時に動かしたことによる待ち時間の混ざりかどうかは分かりません。

正解以外で目についた違い

採点の対象ではありませんが、答えの書きぶりには違いがありました。

  • 題材2では、4通りとも頼まれていない「粗利の金額も前年より減っている」を書き足しました。5 高はこれを「増収減益」とまとめています
  • 題材2で、5.5 中は「値引きの見直しで回復」について、粗利率が下がった原因が値引きだという根拠が報告の中に無いと指摘しました
  • 熊本の 324.2% については、計算は合っているが前年が2か月分なので「比較不可」とする手もある、という注意が 5.5 の低・中・高の複数の回で見られました
  • 題材3の1回目では、5.5 低と 5.5 高が、条件を外したときの時間割の例を書く途中で一度組み直しています。最後の答えは正しく、2・3回目には組み直しはありませんでした
  • 細かい書き間違いが2つありました。題材2で 5.5 中が名古屋の欄を別の支店の数字と取り違えて書いた箇所(正しい値は書いています)と、5 高が既存店と全社の前年比の差を1.4ポイントではなく1.5ポイントと書いた箇所です

エフォート(思考量)の設定で見直すこと

今回の3題に限れば、思考量を「低」にしても正誤は変わりませんでした。上げた分、時間とトークンが増えました。

Anthropic は、Opus 5.5 を「中」から試すよう案内しています(Model configuration、2026年9月27日確認)。Anthropic の案内は「中」から始めるところまでです。そのうえで当社としては、次の順で確かめることをおすすめします。

  • 普段の仕事から、正解が分かっている題材を1つ選ぶ。過去に上司が直した報告書や、答えの決まっている日程調整などです
  • 同じ依頼文で「中」と「低」を試し、拾えたものと見落としたものを比べる
  • 差が出なければ、その種類の仕事では「低」も候補にする。差が出た仕事は設定を上げる

ただし、今回の結果には限りがあります。試した回数は、どの題材も各3回です。題材はいずれも1つのファイルで完結し、答えが1つに決まる問題でした。資料が何本にも分かれた調査や、答えが1つに決まらない企画の仕事でも同じになるかは試していません。

この記事は、2026年9月27日に当社の環境で試した結果です。

出典